(韓国・「労働解放実践連帯」HPより、社会主義綱領草案資料2011・1・14-連載その2)
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Political
Revolution or Counterrevolution—Whither China?
Published: 1917 No.31 (April 2009)
中国は、どこへ行く?
政治革命と反革命の分かれ道
(連載その2)
市場改革と中国共産党の統制
中国スターリン主義者は、土着資本家階級の育成や、国営企業を縮小しようとする狙いは無く、市場改革を1978年に投入した。それと相反するように、彼等は市場競争の扇動は、国営企業をより効率的にし、輸出を刺激し、生産技術を現代化し、その様にして毛沢東が絶えず追求したものの様に、中国が‘超大国’の序列に登るのに寄与するだろうと希望した。
しかし、我々がこの間指摘した様に、(<1917>誌14号、26号を見ること)市場経済論理は、国家所有と中央計画経済と調和して混ざる事が出来ない。資本主義市場は、労働者と経営者達に‘価値法則’を強制する。即ち、労働力があまり高ければ捨てられ、競争力がなければその企業は破産する。資本主義市場の‘効率性’は、労働力と生産手段全ての商品化から起源する。
労働者国家の計画はその反対に、意識的な経済調整に価値法則を従属させる。1920年代、左翼反対派(訳注―スターリン官僚によるロシア革命の変質と戦ったトロツキー派を指す)の指導的経済学者だったエフゲニー・プレオブラジェンスキーは、資本主義から社会主義へ移行する時期に、2法則は完全に相反する二つの傾向に作用すると<新経済>に記述した。彼は、一番目を‘社会主義的蓄積法則’と規定し、二番目は価値法則だ。その二つが衝突する時、万一価値法則が抑圧されなければ、計画経済は消えうせる事となるのだ。即ち、稀少な投資資源は社会的効用ではなく、利潤の最大化のために(最大限利潤の追求)使用されるのだ。
1980年代を通して中国政府の経済政策は、市場指標に対する信頼に否定的な結果が明確となるや‘計画’と縮小の間を行き交い、まごまごした。1989年、天安門示威の過酷な鎮圧は、中国共産党指導部内の保守派と、鄧小平が導く親市場主義者の間の軋轢に続いて引き起こされ出て来たものだ。1992年、鄧小平分派の勝利は、妨害されない劇的な‘計画’を生んだし、その結果が、中国が資本主義に変わったと言う証拠として引用されている。
市場計画は、大規模の国家所有資産に対する、合法的、或いは不法的蚕食を生んだ。これは、社会的反革命を道ずれにすると言う現象、即ち、腐敗、環境破壊、大量解雇そして、社会安全網の破壊などを生んだ。
しかし、こんな現象が、中国が進む方向を明確に表してはいるが、資本主義が復活したと言う事を意味するものではない。
我々が、必ず見極めなければならない重要な点は、経済的私有化の程度だ。
中国の農業部門は、政治社会的にきわめて重要性を持っている。
何故なら、約7億人-全体人口の半分である―が、農業人口だ。
若干の左翼人士らは、鄧小平の集産化解体を、実質的な私有化として間違って認識する。しかし、事実、土地は国家所有として残っている。
そしてこれは、市場可変性の衝撃から、貧しい農民の家族を保護してやっている。
地域的状況の差が大きいが、同等な占有権を保証する為に、地方政府が土地使用権を再分配することが一般化されている。土地を、農業用途以外の使用を法的に禁止することは、投機や資本主義的私的所有を制限している。中国東部海岸の輸出産業で解雇され、内陸の自分の故郷に帰って来た数百万の移住労働者達にとって、土地使用目的の制限は生存のための最小限の抵抗線となってきた。(China Leadership Monitor、2009 冬号)
こんな法律が、いくつかの地方政府が農耕土地を産業や産業用途として貪る事を、完全に防ぐ事は出来なかった。昨年にあった九万件の大衆的抵抗の半分ほどは、即ちこんな掠奪によって発生したものである。
どうして絶望に落ちた農民達が、不法的な土地略奪から自分達の土地占有権を保護する為に、私有化を受容して来たのか?を、西欧のブルジョア言論は歓呼雀躍して報道した。
親私有化情緒は、実際に存在する。しかしそれは、普遍的現象ではない。2008年、北京に近い村であるロンジュアオシュの数百名の怒った農民達は、自分たちの土地を、農業以外の用途に土地目的を変更した事に対する、すずめの涙ほどの補償に抵抗した。
彼等の懸垂幕には“集団所有の農地を、産業的目的に使用するな!!”と書いていた。(Toronto Star、2008年11月15日)三日間、彼等はトラックとブルドーザー、掘削機などを封鎖した。用役ヤクザと地方警察らによって結局解散されたが、これと同じ社会的寄生行為に対する抵抗の意思は、土地問題が未来の政治社会的闘争で重要な位置を占めるものだと言う点を示唆してくれる。
2001年、中国のWTO加入は、帝国主義国家の機械化された大規模農業に対し、競争相手とならない農民たちの生計を威嚇した。
中国政府は、一方で関税引下げと輸入クオーター(輸入品目の割り当て制限)などWTOの義務事項を履行しながら、他方で数百万世帯の農業生産者達が破産しないように保護してきた。初等学校と中学校の授業料を免除し、農業の税金を削減し、既設の社会基盤を拡大し、社会安全網(セフティーネット)の基金を拡大するなどの内容を盛った、中国共産党の‘新社会主義農耕’計画は、多くの農民家族の生活与件を改善した。
産業部門で諸国営企業は、10年前に劇的な変化を経験した。三千万名の労働者達が解雇され、数万個の中小企業が株式発行や、連合企業へ合併される方式で私有化されるなど統合された。(<1917>誌26号を見ること)この様な諸措置は、中国がWTOに加入する為の‘衝撃療法’として、朱鎔基/江沢民―指導部が推し進めたものだった。
彼等の意図は、国家所有権を維持しながら、大規模の国営企業が国際競争力を備える様に圧迫するものだった。実際に諸国営企業は、それらの利潤生産能力ではなく、銀行システムの国家統制によって生き残った。
2003年、国営企業は全体の不変資本の70%、非農業生産の30%を占めた。国家部門は大型機械、鉄鋼、精油、非鉄金属、電気、通信と運送など、最も戦略的な産業で支配的位置を占めている
最近数年、大型国営企業の私有化は中断された。ただ10分の1ほどの運営不能の国営企業が、2007年と2008年、破産処理された。残りは、政府資産に対する接近権(訳注-朝鮮・韓国語では、「如何なる秘密や情報にも近づく事が出来る国民の権利」を指すが、この英文原文がどうであったかは不明)を、忘れてしまうことを心配した地方官吏らによって、そのように処理される事が禁止された。(Economist、2008年12月13日)
国家部門の大きな所謂‘アジアの虎’諸国を含む周辺の資本主義諸国から、中国を区別することとなる。
シンガポールの国営企業は、国民総生産の10分の1を受け持っており、南韓は5%、台湾はその半分だ。(UBS Investment Research、“中国をどう考えるか”)。
私有化を通した蚕食にも拘わらず、土地所有権を含んだ国家部門を見れば、中国は依然として集産経済が支配的な国だ。エール大学の経済学者チウチェンは、次のように言う。
“私有化にも拘らず、資産価値が約4兆ドルに達する11万9千個の国営企業がある。国家所有土地は七兆元を上回る。合してこの国家所有資産は中国全体生産資産の4分の3を占める。”
“国家が、そのように多く所有した中で、過去30年間、資産から出た
大部分の所得は、国庫に入って行った。大部分の家庭が生産資産を所有しておらず、彼等は資産収入を受ける事は出来ない。大部分の国民達に賃金が収入の唯一の源泉だ。”-Globe and
Mail[Toronto]、2008年11月26日-
無論、奇形的な労働者国家は、国家所有の量だけで規定出来ない。
市場で生き残って行けない戦略部門の企業を支えたり、深刻な危機に対応する為に大規模な国有化と言う手段に依存する多くの資本主義諸国が実際に存在する。いろんな(独立した)新植民地諸国は、国家財源を拡充し、帝国主義掠奪者達から守るために石油や、他の国家資源などを国有化した。しかし、このどれも‘反資本主義的’行為ではない。単に、ブルジョアジーの地位を強化する為の行為だ。
中国を資本主義国家と見る者達は、国家所有資産が今まさに、この様な役割(ブルジョアジーの地位の強化)をしていると主張する。そして中国共産党官僚を、外国と国内資本の利益の為に奉仕する下手人と言う。
中国の資本家たちが、最小限今は、中国共産党の転覆ではなく‘改革’を語っているのは事実であるが、帝国主義者や土着資本家は、すべての人が“自由に”購買することが出来るようになる、政治的影響力を行使するブルジョア‘多党制民主主義’の確立を渇望している。
経済領域でブルジョア知識人達は、資本主義的蓄積を妨害する規定を撤廃する事と、国家部門を漸進的に縮小する方向に‘改革’する事を提案するのに焦点を合わしている。
この措置は、いま中国が、徐々に滑って入って行き、必然的にぶつかる事となる政治的危機の時、資本主義の復活勢力を強化するものとなるだろう。
カリフォルニア大学で経済学を講義している中国人教授である、ワンシエウの2006年の論文は、資本主義の復帰を願う者たちの所願目録を提供している。
“中国で最も重要な経済的課題は、世界経済の歴史が立証した最善の経済成長エンジンを装着することだ。それは競争力ある私有企業が標準となり、国家は、もっぱら公共産品の供給と社会安全網だけに焦点を合わせる市場経済だ。新しい成長エンジンを稼働する為に、中国は基本的に、独占事業でない国防関連以外の企業の私有化を持続し、私的所有の領域を侵害する法的制限を果敢に撤廃しなければならない。”-Journal
of Chinese Economic and Business Studies,2006年2月
2008年12月、ひと群れの‘反対者’ら(訳注→ノーベル賞を受けた劉暁波を中心とする、自称‘改革派’達)は、世界に“2008憲章”を提出した。それは、チェコスロバキアの資本主義復帰勢力の集結点となった1977年の宣言である“1977憲章”より、露骨的に反革命的な内容を盛っているものだった。
“2008年憲章”の序文は、“内戦で、民族主義者達に対する共産主義者達の勝利は、国を全体主義の奈落に陥れた。”とし、1949年の革命を非難した。その文書は、次の様な社会反革命の青写真を盛っている。
“我々は、自由で、公正な市場経済体制を増進し、私有財産権を保護し確立しなければならない。産業と工業の政府独占を撤廃しなければならないし、新しい企業を始める自由を保障しなければならない。全国立法府に報告する‘国家所有財産委員会’を樹立しなければならない。それは、公正で効率的で秩序あるように、国営企業が私有化されるのを監督するだろう。土地所有権を増進し、売買の権利を保障し、私有財産が市場の実際価値を適切に反映する事が出来る様に許容する、土地改革を実施しなければならない。”-
New York Review of Book 1月15日
外国と国内の、資本主義私有企業の比重の増加は、反革命勢力を強化する。しかしそれが自動的に、どんな階級が支配するのかと言う基本的な問題を、解消することはない。
資本主義反革命の決定的課題は、国家権力を政治的に征服する事だ。
資本主義的蚕食に対抗し、中国全域で噴出している大衆的で絶えることの無い労働者と農民の抵抗は、まだ政治的に未成熟であるが、中国革命の究極的運命はまだ決定されていなかった事を証明する証拠だ。(続く)
(訳 柴野貞夫 2011・1・28)
<次回>「中国はどこへ行く」連載その3
○中国共産党の左旋回
○中国の労働者政治革命の為に!
参考サイト
☆ 255 中国は、どこへ行く? (韓国・労働解放実践連帯HPより 2011年01月14日付け)
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